再再再度あきらめる
おじさんは
これは内弦、これは外弦、
内弦はド、外弦はソ。
だと教えます。
そして、楽譜を出してきました。
音感的なものがあるか調べてみようかな、
と、ある簡単な楽譜を指さし、
歌ってみて、と。
私は心ではすかさず
ムリに決まってるやろ、とツッこんでましたが、
まーじゃ、できないっていうことを証明してやるか、と、
歌ってみせました。
おじさんは、
なーんともいえない、
ため息すら出ない、といったリアクションをしました。
おじさんの電話がなりました。
相手は奥さんです。
何してるのと聞く奥さんに、二胡を教えてると答えます。
電話から奥さんの声がはっきりと漏れ聞こえます。
誰を?
小さい女の子。
いくら?
無料。
なに無料でおしえてんの!
と怒ってます。
おじさんが、大人の女性を家に招いて教えていることを伏せたことと、無料を攻められていることが、私の心に刺さりました。
そしてそのあと、レッスンすることもなく、私は弓の持ち方すら習いませんでした。
おじさんは私を自分の書斎に案内し、自分の趣味の絵を見せてくれました。その後絵の話がわりと続き、
ある二胡の録音を聴かせてくれました。
これは盲目の二胡弾きの曲だと。
今思うと、あの時の曲は二泉映月だったのではないかと推測されます。
そしてこう話します。
1万時間練習すれば、あなたもこれが弾けるようになる。
1万時間だ。計算してごらん、1日1時間練習するなら何年?
30年ぐらい
じゃあ1日2時間なら?
15年
一気に半分になったので、この後頭の中で、計算を間違え、
3時間なら4年、
4時間なら2年…
ここでまた、天然な私は、
そっか、時間をかければ早く弾けるんだ。
と思いました。
その後、二胡をまともに習うことなく家に帰りました。
その後おじさんにも二度と習いませんでした。
やはり二胡を習うことは叶わず、
再再再度あきらめました。
一週間後、帰国。
一か八かで、二胡を持って帰国したら、そのままスルーしてセーフ。
で、帰国して数ヶ月もたたないうちに、また北京へと行くことになったのです。
続きはまた次回。
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